北海道・全国学力調査結果の感想

「北海道の学力・本音緊急調査」 TOSS北海道News Letter(9月21日作成)
北海道の全国学力調査の結果について、保護者・教員・地域の方の本音緊急調査し、新聞にまとめました。
全国学力調査感想新聞1007.pdf
PDFファイル 1.5 MB

2013年の全国学力調査の結果が公開されました。(右表参照)

調査開始以来、北海道は残念ながら下位に甘んじています。このことについて、保護者、企業、教員、地域の方々は、どのような感想をお持ちでしょうか。

ぜひ、下記フォームより感想をおよせください。(お名前とメールアドレスは公開致しません)

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これまでにお寄せいただいた保護者・地域の方・教員からの「声」をご紹介します。

 

【保護者の感想】

もう少し順位を上げたい。家庭での勉強時間も少なく、やる気もない。どうしたらいいのか…。(女・専業主婦)

▼一学期が終わった時に我が子の算数のノートを見ました。まだ1冊目でした。プリント学習をやっているようですがそのプリントもほとんど家庭に持ち帰っていません。普段授業で扱われるべき漢字学習が1冊まるごと夏休みの宿題でした。また、教科書の進度が遅れていると思ったら、ある日突然「これは家でやっておくように」と言われました。学校の授業で何をやっているのか心配です。(男・保護者)

他県と比べ、やはり北海道は低いという事を実感します。勉強は楽しいものだ!と教えたいけれど、イヤイヤ宿題や家庭学習をしています。学習方法や内容にバラエティがあると少しはやる気が出て良いのかと思います。イロイロアイディアがあると聞きたいです。特に、応用問題は苦手です。(女・専業主婦)

▼土曜日にまた学校の授業があると良いと思います。家庭学習をしっかり定着させる事が一番良いのでしょうかね…。(女・不明)

▼若干改善されているようには感じます。我が家もですが、家庭での学習習慣をしっかり身に付けたいです。(男・道議会議員)

▼もう少し、家庭学習量を全体的に行うようにした方が良いと思いました。何でも今はきそい合うのはタブーになっているところがありますが、私はきそい合いは必要な事と思ってますので、家庭学習提出表など教室にグラフを作ってもいいと思ってます。その表を見ての先生の子供達に対してのコメントが重要になると思います。(女・看護師)

▼下位であっても、わずかずつでも順位が上がってきていると見ればよいのでしょうか。上位都府県との差がどのような教育環境(学校、家庭学習、塾など)のちがいに起因するのか知りたいです。上位都府県の結果が、子供の学習意欲や我慢、あきらめずやり遂げることを指導し、身に付けさせた結果であるならば、同様の教育環境とその結果である上位を目指すことに賛成しますが、上位を得るのが強制的な勉強漬けの結果であるならば、北海道が同じ方向で上位を目指すべく教育環境を変えていくことは望みません。(男・会社員)

 

【地域の方の感想】

▼「インプット-アウトプット-アウトカム」という評価システムにおきかえ、「普段の授業-試験-理解度確認-授業へのフィードバック」までのサイクルをインプットとしてとらえてみれば、アウトプットは全学力テストを含めた、模擬試験や大規模学力テストの結果として考えられます。この部分を高めないとアウトカムである教育の目的(教育基本法第1条)が達成されません。したがって、インプット、アウトプット、アウトカムすべてにおいて客観指標が必要ですが、とりわけ指標をとりやすいインプット―アウトプットの部分においては、きちんと数値分析を行って指標に現実を近づける努力が不可欠です。イソップのキツネみたいに、数値が低いことを「あの学力テストは意味がないんだ」と否定するのではなく、正面から数値を受け止めて、少しでもそれを向上させる努力が必要だと思います。アウトプットがきちんと出ないのはインプットに改善の余地があるからです。また、アウトプットがなっていなければ、アウトカムはもちろん期待できません。教育ほど数値化しやすいジャンルはないので、そこから逃げないことが最も重要です。

▼企業経営者です。新規高卒者採用につき、弊社では、募集対象高校を上位・中堅校に限定するようにしました。高卒とは名ばかり、簡単な指示すらもまともに通じないケースが多くありました。企業は教育機関ではありません。必要最低限の知識・学力を身につけさせてから、それから社会に送り出していただきたいものです。

▼以前、我が娘を小学・中学に通わせていた保護者です。小学校に娘が通っていた先生方の授業。参観日、私が見ていても楽しいものでした。しかし、今から学力という観点から思うと、変だな、これでは学力は付かないよなと思うことが沢山ありました。例えば、娘のノートを見ると、何を学習しているのだかわからないようなことばかり。教科書の問題をきちんと解いているのか疑わざる得ないようなことばかり。カラーのテストやドリル帳も学級全体で購入するみたいでしたが、ほとんど授業ではせず宿題になったり、夏休みの課題になったりします。宿題と言えば、授業で教えず、教科書でやり残した問題を家でやってこい、等と娘は言われたこともあるようでした。娘は、授業では習っていないのですから、私が教えると「パパの方がよくわかる」と喜んでいました。それっておかしくありませんか。教師がすべきことを家庭に押し付ける。教師の責任放棄です。これでは、学力が付くはずはありません。

▼北海道から引越して最初に思ったことは宿題の量が違う!音読・漢字・算数ドリルの3パターンを北海道は一日交代でやってたのに、こちらは毎日全部出る。単純に3倍。いいことだけど、やらせるために親はピリピリ(>_<) 近所の一年生が分数のかけ算やってて驚愕Σ(゚д゚lll)やってる子とやらない子の差がすごい気がする…。私は北海道の感じが好きだけどなぁ…それじゃあダメなのか(^^;;

▼震災で道東に引っ越して来た家族がすぐにまた引っ越しました。学校に我が子を通わせたら勉強が心配 になったからです。放射線以上の問題です。

 

【教員の感想】

▼私の学校では,今回のこの結果について自分たちで診断をして,どう改善していけばいいのかを話し合いました。現6年生はA問題はできているけれども,B問題になるとほとんどできていないという現状です。文章読解の力,説明問題を解く力をつけていくことが課題として挙げられています。朝学習の時間,宿題などで力をつけていくことになりました。授業も子供に力をつけられる取組を行うように指示が出ました。学力テストのためだけではなく,子どもに力をつけていくことが本当に大切だと思いました。今5年生の担任をしています。この1年で,少しでも子供に力をつけられたらと思います。

▼釧路市内小学校です。育児放棄、家庭崩壊への対応、生徒指導、同好会など、学習指導以外に時間を取られ、疲弊している人が多いです。市では、家庭の教材費負担を減らすという通り決めがあったので(今も存在するのか)、効果的、効率的な教材を買えず、クラス30人以上分を複数教材、私費でそろえました。隣のクラスとそろえるという圧力もかかります。新しく来た人に大変なところを持たせる学校もあります。総じて、同業者には時間を守る、効率的に事をなす、費用対時間の効果に関心が薄い人が多いと感じます。

▼新しい学級を持つと必ず行なうことが2つあります。前学年までの漢字の到達チェック,前学年までの計算到達チェックです。私のこれまでの経験上,漢字がひどいです。特に漢字の「書き」が壊滅的です。半分もとれません。「いままでどうやって漢字の勉強をしてきたの?」と尋ねると「時々まとめて練習した」「家庭学習で練習した」と返ってくることが多いです。毎日ある国語の授業の中で,漢字の継続的な指導が為されていないのです。子どもたちは「練習の仕方」も教えられていません。ひたすら漢字練習ノートに漢字を書き写す方法しか知らないのです。現場ではこうした指導を「体力勝負」と呼びます。これで力がつくのなら,みんな漢字が書けます。実際はそれと全く逆です。漢字嫌いの子を拡大させることにしかなりません。教育には時代の変化に対応しなければならない部分と,時代が変わろうとも大事にしなければならない事があります。不易と流行。漢字の指導は明らかに後者です。しかし,何十万人もの先輩教師たちが実践を通して磨いてきた優れた指導法が受け継がれていません。世の中の多くの方は,「教師は大学でこうした事を教えられている」と思っている事でしょう。しかし,実際はその逆です。具体的な指導方法などは全くといってよいほど教えられていません。自分が子どものころに教わった方法をそのまま現場で再生している現状があります(優れた指導法ばかりであれば大歓迎ですが)現場でも日々研修を行なっていますが,こうした具体的な指導の仕方は取り上げられる事が少ないのが現状です。こうした負の連鎖を断ち切る必要があります。大学での実践的な内容の指導。学校では子どもたちにしっかり力をつける「具体的な指導法の工夫」の研究と研修が必要です。道教委も具体的な事例を挙げた指導の改善に向け,取り組みを本格化しています。学力テストの結果は,単にテストの結果だけでなく,教員養成,現場,道教委,そして家庭教育の総合力の現状を表していると感じています。どの子もできるようになる,どの先生も指導出来るようになる。ここを目指して微力ながら取り組んでいきたいと思っております。

▼現場では温度差を感じます。危機感を持ち、学力向上の手立てをとっていこうとする教師と、「こんな数値で本当の学力はわからない」という教師、そもそも全国学力学習状況調査の問題をほとんど見たことない教師すら存在します。教師の思想信条の自由は必要ですが、今回の順位や結果に危機感を持ち、北海道教育員会の打ち出している方針に向けてある程度同じ方向を見ていくべきだと思います。そうでないと北海道の学力はずっと底這いです。

▼北海道の学校教育の欠点を洗い出して,改善する必要性があると思います。例えば,行事が多く授業がつぶされる教科の時間に学芸会や運動会の練習に使っている実態。教師が教えない,子供に学力がつかない問題解決学習をベースとした研修などが考えられます。

▼もともと低いといわれていること、全国平均には近づいていることなどから、そう悪いとはいえないと考える。しかし、それに甘んじてはいけない。学力が低いというのは事実である。教師は子どもの学力をあげるというよりも、学力をあげるための教師力をもっとつけるべきである。ただし、公の研修や教員免許更新講習の内容では、教師力をあげることは難しい。塾や民間の教育団体などから教え方をたくさん学ぶべきである。教師は保護者に雇われているという意識をもって、研鑽により一層務めなければならないと考える。

▼「北海道の学力は低い」、「北海道は、いつも下から〇番目」などという報道がされる度に、北海道の子どもたちのセルフエスティームが下がると思います。自分たちの学力が低いと聞かされて、うれしい人はいません。北海道の学力の底上げが必要だと思います。教師としては、授業の改善が必要だと思います.算数では教科書をしっかりと教える、国語では漢字の指導も授業中にしっかりと行う、などなど。基礎学力を定着させる授業が必要です。そのために教師は研修に力を入れていくことも大切です。

▼学力向上など必要ないという声があります。しかし、本当に学力は必要ないのでしょうか。本当の学力はテストでは表せないという声があります。では、どうやって現状を知り対策を練るのでしょうか。学力テスト下位について嘆く声があります。でも、その具体策が見つけられず困惑している声を多く聞きます。どうやって学力を向上させるのか、それを真剣に具体的に考える時期に来ていると思います。今までの教え方ではだめなのです。これまでの考え方では効果がないのです。抜本的に変えていかなければならないのです。私は、そう考えます。

▼過疎で小規模な学校も数多くあるので、そのような学校での学力向上は正直難しいとは思う。しかしながら、都市部でも真剣に学力向上を考えていない教員や学校は多い。「点数だけが全てじゃない」「問題が解けなくても、やり方を理解することが大事」などと言っているのは、自分の指導力のなさを転嫁している無責任な教師の言であると考える。今の若い教師には、勉強熱心な人が多い。逆にベテランと言われる年代層なのに、学級が崩壊しかかっているのに「もっとひどいクラスがある」と平然としている者もいる。このような教師には早く退職してもらい、若い人が増えて欲しいと願う。

TOSSランド

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TOSSとは

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Sharingのこと。

子どもにとって価値ある教師(教え方のプロ)になるための研究組織。

すぐに役立つ教育技術・指導法を開発し、自らの授業の技術を高め、教育現場で生かしていくことを目的に活動している。全国で700サークル約1万名の小中学校教員が参力する。